税理士監修 専業主婦が副業で確定申告|手続きの流れと気を付けるべき3つのことを解説

専業主婦が副業で確定申告|手続きの流れと気を付けるべき3つのことを解説

近年、アプリを利用すれば簡単に誰でも収入を得られるようになりました。専業主婦でもお小遣い稼ぎとして副業で月に数万円程度稼ぐ人も増えています。

収入がある場合、パートをしていない専業主婦であっても確定申告が必要になるケースがあります。

では、どのくらいの収入があれば確定申告が必要になるのでしょうか?

専業主婦の確定申告について、手続きの流れや気を付けるべきポイントとともに解説します。

目次

専業主婦の副業は確定申告の対象に

専業主婦の副業は確定申告の対象に

専業主婦が副業として、家事の合間に数万円程度稼ぐ人が増えていますが、気軽な副業でも確定申告が必要になるケースがあります。

まずはどのくらいの収入があると確定申告の対象になるのか、所得税はどのくらい納めればいいのか、確定申告の基本から解説します。

確定申告は年間の所得が48万円を超えると確定申告が必要

収入(所得)が一定額以上ある人は必ず納付が義務付けられている「所得税」ですが、副業で数万円程度稼いでいる専業主婦も無関係ではありません。

まず、所得税を納めるためには、必ず確定申告を行う必要があります。

確定申告の対象となる人は、年間の所得が48万円を超える人です。 毎月4万円以上の収入がある人は、確定申告の対象になる可能性が高いので、少額であっても所得額は必ず把握しておきましょう。

所得が48万円以下の人は確定申告をする必要がない理由

所得が48万円以下の場合は確定申告を行う必要はありません。

所得が48万円以下の人が確定申告をする必要がない理由は、納税者本人の合計所得金額が2,400万円以下の場合、48万円まで基礎控除として差し引くことができるからです。

ちなみに、2019年まで基礎控除額は納税者本人の合計所得金額に関係なく一律で38万円でしたが、2020年より2,400万円以下の場合は48万円まで基礎控除額が引き上げられました。

今後も基礎控除額が変化する可能性があるので、国税庁のホームページなどで必ず基礎控除額の確認をしておきましょう。

副業である程度の収入が得られている場合は事業所得になる

副業で少額の収入がある場合、その収入は「雑所得」になります。

しかし、副業である程度の収入が継続して得られるようになった場合、その収入は雑所得から「事業所得」になります。

雑所得と事業所得の大きな違いは控除額です。

雑所得の基礎控除額は48万円ですが、事業所得で「青色申告特別控除」が受けられると基礎控除額の48万円と青色申告特別控除額65万円、合計113万円まで上がります。

所得が48万円超になった場合、確定申告を行う必要がありますが、事業所得に計上して青色申告特別控除が受けられれば113万円まで所得税がかからなくなります。

所得税の金額は所得金額に応じて異なる

所得税の税率は所得金額に応じて変化するため、人によって納税額が異なります。

所得税の税率は以下の通りです。

課税所得金額税率控除額
~195万円5%0円
195~330万円10%97,500円
330~695万円20%427,500円
695~900万円23%636,000円
900~1,800万円33%1,536,000円
1,800~4,000万円40%2,796,000円
4,000万円~45%4,796,000円

所得税の計算方法は「課税所得金額×税率-控除額」です。

さらに、2037年までは基準所得税額に2.1%の「復興特別所得税」が加算されます。

例えば副業で年間100万円の課税所得金額があった場合、所得税は100万円×5%-0円で5万円が基準所得税額になります。

さらに基準所得税額の5万円に2.1%の復興特別所得税がかかるので、納めるべき所得税の合計金額は5万1,050円になります。

営利目的ではない所得は基本的に確定申告の必要はない

専業主婦の副業のひとつとして、フリマアプリやネットオークションが用いられますが、不用品の売買によって得た所得は、基本的に非課税とされています。

所得税法によると、生活用品の売却によって得た所得は非課税となると定められています。

資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。

生活用動産の譲渡による所得

 家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。

要するに、家にある不用品を売って得た所得は、基本的に税金はかからないということです。

ただし、貴金属や宝石、書画骨董などでひとつあたり30万円を超えるものを売却した場合は課税対象となります。

なお、生活用品に含まれているCDや本、カードなどのコレクション品も、希少価値が跳ね上がって30万円超の金額が付けられるようなものは課税対象になる可能性があります。

ちなみに生活用品の売買であっても、継続的・反復的に利益を得ている場合は営利目的と判断されるので注意してください。

専業主婦が副業で確定申告をする際の手続きの流れ 1.~6.

専業主婦が副業で確定申告をする際の手続きの流れ

専業主婦が副業で確定申告をする際、どのように手続きを進めればいいのか、確定申告の流れについて解説します。

1.確定申告に必要な書類の準備をする

まずは確定申告に必要な書類を準備します。

副業で少額の利益を得ている場合は、所得がわかるものを用意しましょう。私的年金などを受け取っている場合は、支払金額がわかる書類も用意してください。

また、必要に応じて医療費の領収書や、生命保険料・地震保険料の控除証明書なども用意しましょう。

どんな書類が必要になるかは人によって異なるので、収入が発生した場合は常に収支のわかるものを用意しておくとよいでしょう。

なお、本人確認書類はどのような申請であっても必ず必要になるので、予め準備しておいてください。

確定申告に必要な本人確認書類は以下の通りです。ただし、e-Taxの場合は、省略できます。

・マイナンバーカード(個人番号カード)を持っている場合:両面の写し
・マイナンバーカードを持っていない場合:マイナンバーの確認ができる書類(通知カード、住民票の写し)+身元確認書類(運転免許証、パスポート、在留カード、身体障害者手帳、公的医療保険の被保険者証など) なお、本人確認書類はすべて原本ではなく写しを用意してください。

2.申告書を準備する

必要な書類の準備ができたら申告書を準備します。 申告書 は国税庁のホームページからダウンロードできるほか、税務署にも用意されています。

副業による雑所得しかない場合は「 申告書 A」を、事業所得がある場合は「申告書B」を用意します。

白色申告と青色申告の違いとは?

事業所得や不動産所得がある人は、白色申告と青色申告の2種類から確定申告の方法が選べます。

まず、雑所得ではなく事業所得がある専業主婦の場合は、 申告書 Aではなく 申告書 Bを提出する必要があります。

白色申告と青色申告の違いは以下の通りです。

確定申告の方法用意するべきもの基礎控除額
白色申告・申告書B
・収支内訳書
・控除を証明する書類など
・基礎控除額の最大48万円のみ
青色申告・ 申告書 B
・青色申告決算書 ・複式簿記で作成した帳簿
・控除を証明する書類など
・開業届(事業開始から1ヶ月以内)
・青色申告の承認申請(事業開始から2ヶ月以内)
・基礎控除額48万円に加えて
・55万円または65万円 (2020年より)
・55万円または65万円 の要件を満たしていない場合は10万円

「青色申告決算書」とは損益計算書と貸借対照表で構成された書類です。

青色申告を行う場合は複式簿記での帳簿が義務付けられているので、用意するべき書類や事前準備が多い申告方法です。

しかし、事前準備が多い分、青色申告特別控除額がありますので、しっかり節税するのであれば青色申告を行うことをおすすめします。

3.申告内容に応じて計算書や明細書などを準備する

申告内容に応じて、収支のわかる証明書や計算書を準備します。

副業で少額の収入がある場合は準備する計算書や証明書は少ないですが、医療費の証明書などがある場合は必ず保管しておきましょう。

また、パートや正社員としての勤務歴がある場合、源泉徴収票が必要になることがあるので、必要に応じて準備しておきましょう。

4.申告書を作成する

収支の金額などを計算し、申告書の内容に従って記入します。

申告書の項目はAとBもほとんど同じですが、申告書Bの方が項目が多く、より詳細に記入する必要があります。

副業で雑所得しかない場合は申告書Aで問題ないので、内容に従って記入してください。

5.申告書と添付または提示する書類を確認して提出する

申告書の作成が完了したら、申告書と添付または提示する書類を確認してください。

書類を添付する場合は申告書ではなく、添付書類台紙などに貼って提出しましょう。ただし、e-Taxの場合は、省略できます。

申告書の提出先は住所地などの所轄税務署です。

税務署に直接持参するのはもちろん、郵送での送付も可能です。また、e-Taxを利用すればインターネットで24時間申告書の送信ができます。

なお、確定申告の期間は毎年2月15日から3月15日くらいまでです。災害や社会情勢の影響によって期間が延長されたり、数日ずれたりする場合があるので、事前に国税庁のホームページなどで確認しておきましょう。

6.納税をする

確定申告が終わったら納税をします。納税の方法は3通りあり、それぞれで納税期限が違うので事前によく確認しておきましょう。

・振替納税:金融機関の預貯金口座から自動的に引き落とされます。引き落とし日は毎年4月20日前後です。
・現金納税:納付書を添えて金融機関または所轄税務署の納税窓口にて納付します。納税期限は毎年3月15日前後です。
・e-Tax:インターネットバンキング、クレジットカード、QRコード(コンビニ払い)を利用して納付できます。納税期限は毎年3月15日前後です。

なお、所得税を3月15日までに半分以上納付すれば、残りの金額の期限を5月31日までに延長することができます。 延納する場合は申告書第一表に延納の項目があるので、記入しておきましょう。

専業主婦が確定申告で気をつけるべき3つのこと

専業主婦が確定申告で気をつけるべき3つのこと

副業の収入が例え少額であっても、確定申告をする際には気をつけなければならないことがあります。

では、専業主婦が確定申告で気をつけるべきことを解説します。

1.住民税と所得税の課税対象になる金額は違う

最も勘違いされやすい部分ですが、住民税と所得税の課税対象になる金額は全く違います。

所得が48万円以下なら、確定申告も所得税の納税も不要ですが、住民税の課税対象になるのは43万円からです。

なお、住民税の基礎控除の金額も、所得税と同様に2020年から33万円から43万円に一律で引き上げられました。

また、住民税の場合は収入が発生していなくても、公的な保険や年金、給付金受給者は申告しなければならないケースがあります。

さらに、住民税は非課税であっても所得が1円でも発生したら申告する必要があるので、副業をしている人は確定申告とは別に住民税申告の準備も進めましょう。

2.副業を事業にする場合は事業開始から1ヶ月以内に開業届を出す

お小遣いサイトかフリマアプリなどでコツコツと副業をしていくうちに、事業にして収入アップを目指すのであれば、事業開始から1ヶ月以内に開業届を提出しましょう。

ただ実際は、開業届は法律によって提出しなければならないと定められているものの、提出しなくても罰則はありません。

そもそも確定申告を行った時点で、開業届の代わりになっているのが現状です。

しかし、開業届および青色申告承認申請書を提出すれば青色申告ができるようになるので、収入アップを目指しつつ節税をするのであれば、開業届は提出するべきでしょう。

満期保険金の受け取りも課税対象になる

専業主婦の方でも自分で保険料を払って、保険金を受け取るケースがありますが、満期保険金を受け取った場合は一時所得となるので課税対象になります、

なお、生命保険だけでなく個人年金保険などの年金タイプの保険でも、雑所得になりますので課税対象です、

受け取った金額によっては夫の配偶者特別控除などが無くなる可能性があるので、副業だけでなく満期保険金や年金を受け取っている人も収入金額に注意してください。

専業主婦でも副業で一定額以上の収入があったら確定申告が必要!

専業主婦でも副業で一定額以上の収入があったら確定申告が必要!

専業主婦でも家事の合間にコツコツと数万円程度稼ぐ人が増えていますが、もし年間の所得が48万円を超えた場合、確定申告が必要になるので必ず副業でどれくらい稼いだかの記録は残しておきましょう。

少額の収入しかない副業であっても、意外と48万円の壁は簡単に超えられるので注意してください。

また、所得税と住民税の課税対象になる金額は違ううえに、住民税は1円でも所得があったら申告する必要があるので注意しましょう。

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副業での成功や失敗談を元に正しい副業情報を提供します。
執筆する内容は自身が体験したものや確かな情報を持っている知人による情報提供から作っております。
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